「戦争の本って怖くて読みにくい!」そんな風に思ったことないですか?
私も子どもの時から戦争の生々しい話が大の苦手で、今も苦手意識があります。
今回、紹介する本は生々しい戦争体験の本とは少し違います。
戦争の話ではありますが、第一次世界大戦に連れてこられたドイツ人捕虜の生活、日本にバウムクーヘンが伝わった経緯を知ることができる本です。
5.6年生向けです。
読書感想文にもおすすめ!
今回は、「日本に捕虜がいた」「間接的に伝わる戦争の恐ろしさ」の2つを中心に紹介していきます。
ぜひ、最後までご覧ください♪
小学校で学校司書をしているアーサーです。
普段は学校図書館に来る子どもたちに色々な本をおすすめしています。
★学校司書ってなに?と思った方はこちらをお読みください。
あらすじ
『バウムクーヘンとヒロシマ ドイツ人捕虜ユーハイムの物語』
著者 巣山ひろみ 絵 銀杏早苗 出版社 くもん出版
6年生の颯太は自称”バウムクーヘンを愛する男子”
今年の夏は広島の似島で、伝わってきた当時と同じバウムクーヘン作りを体験できるピースキャンプに参加することにした。
島には「菓子伝説の地へようこそ」と書かれている看板もありテンションも上がる中
島のスタッフが話してくれたことは…
バウムクーヘンを伝えたドイツ人のユーハイムはお菓子を伝えるために日本の似島にきたのでなく
第一次世界大戦で日本に負けたドイツ軍の捕虜として連れてこられたのだった。
なぜ日本に捕虜が?
これは題名が気になって手に取りました。
お菓子が伝わってきた話なのか?と思っていたところ
副題に捕虜という言葉が入っていて「なんじゃこりゃ?」と思いました。
ピースキャンプに参加した主人公たちにキャンプのスタッフが
第一次世界大戦に捕虜として日本に来たドイツ人ユーハイムのことを話してくれます。
戦争の話で多いのが戦争中の日本の様子、原爆だったり空襲だったり。
そもそも、第一次世界大戦で日本はどこと戦っていたのかというのは子どもたちは分かりません。
それに日本に被害があったことを知っている子は多いと思いますが、ドイツと戦い降参したため日本に捕虜が連れてこられたことは知る機会が少ないと思います。
この本では戦争がおこった背景を含め、主人公6年生という年齢に合わせた説明をしくれているので
非常に分かりやすく読みやすかったです。
間接的に伝わる戦争の恐ろしさ
スタッフの話の中でユーハイムが広島県物産陳列館(現在の原爆ドーム)でバウムクーヘンを売る場面があります。
その後に主人公たちは
「原爆ドームって、さいしょから原爆ドームじゃなかったんだよな」
『バウムクーヘンとヒロシマ』P.116
と話していたところに私は共感しました。
原爆ドームが産業奨励館だったことは知っていても当時そこで生活をしていた人たちが
どんな利用をしていたのかピンときていませんでした。
…というよりは原爆ドームとしてしか受け止めていませんでした。
物語上とはいえ、主人公のおじいちゃんが昔住んでいた当時の話を聞くことで
その時の暮らしが想像できました。
だからこそ、この本では直接的に原爆の被害は書かれていないのですが
その暮らしをうばわれた恐ろしさが伝わってきます。
終わりに
この本は、ユーハイムが伝えたバウムクーヘンの歴史以外にも
・第一世界大戦で日本に捕虜がいたこと
・当時の暮らしを知れるからこそ、そこで暮らしてきた人の被害を間接的に感じられる
この2つを知ることができます。
高学年向けですが大人も知らないことが書かれているので、ぜひ読んでみてください!
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